第60回通関士試験の通関実務では、申告書以外に「選択式10点(5問)・択一式3点(3問)・計算式12点(6問)」が出題されます。合計25点を安定させるには、選択肢を感覚で選ぶのではなく、問題形式ごとに確認手順を固定することが重要です。
この記事では、2026年7月1日現在の第60回受験案内と、第59回の公式問題・正答を基に、選択式・択一式・計算式の解き方を整理します。時間配分は税関の公式基準ではないため、後半で資格コンパスの練習用モデルとして分けて示します。
第60回の形式は選択式5問・択一式3問・計算式6問
第60回通関士試験は2026年10月4日実施予定です。通関実務は13時50分から15時30分までの100分、全体で45点です。出題範囲は2026年7月1日現在で施行されている法令・政省令・告示・通達とされています。
| 区分 | 配点・問題数 | 解答上の特徴 |
|---|---|---|
| 通関書類の作成要領 | 20点・2問 | NACCSを使う輸出申告・輸入申告が各1問 |
| 選択式 | 10点・5問 | 五肢から正しいもの・誤っているものを複数選ぶ。各問2点 |
| 択一式 | 3点・3問 | 五肢から1つ選ぶ。正しい選択肢がないときは「0」 |
| 計算式 | 12点・6問 | 税額、原産材料割合、課税価格などを計算。各問2点 |
公式案内では、空欄補充と五肢の複数選択をまとめて「選択式」と呼びます。通関実務の第59回では第3問から第7問までが複数選択で、解答のすべてが正解した場合のみ得点でした。旧記事の「択一式5問・複数選択式5問・計算式5問」という整理は第60回の公式配点と一致しません。
第59回の公式問題から対策範囲をつかむ
直近の第59回では、申告書以外の25点が次のように出題されました。次回も同じ論点が出ると断定はできませんが、形式別に何を処理するのかを知る材料になります。
| 形式 | 第59回の主な内容 | 優先する練習 |
|---|---|---|
| 選択式 | 関税の確定・納付、品目分類の事前照会、第85類、EPA原産地、CPTPP | 5肢を1つずつ根拠と例外で判定する |
| 択一式 | 輸出通関、輸入通関、関税率表の所属、類別の物品知識 | 設問の正誤方向と「0」の有無を先に確認する |
| 計算式 | 過少申告加算税、EPAの原産材料割合、課税価格 | 何を求める問題かを分類し、式・加算要素・端数処理を分ける |
つまり、25点は「HSコード問題」だけではありません。関税法上の手続、品目分類、原産地規則、関税評価、税額計算を横断します。苦手分野だけを読んで終えるのではなく、公式問題を形式別に解き直す必要があります。
選択式は5肢を独立して判定する
複数選択では、最初に正しそうな肢を選ぶのではなく、1から5までを独立して判定します。第59回のように部分点がない形式では、1肢の見落としで2点を失うためです。
- 設問の方向を囲む:「正しいもの」「誤っているもの」のどちらを選ぶか確認します。
- 主体と行為を切り分ける:輸入者、税関長、通関業者など、誰が何をする規定かを見ます。
- 条件・期限・例外を拾う:「必ず」「直ちに」「すべて」などの表現だけで決めず、条文・通達の要件と照合します。
- 各肢へ○・×・保留を付ける:他の肢との比較ではなく、その肢単独で判定します。
- 最後に選択数ではなく根拠を確認する:「2つのはず」などの思い込みで答えを増減させません。
法令問題は「主体・時点・要件・効果」で整理する
法令の正誤は、数字だけを暗記すると混同しやすくなります。たとえば納期限、保存期間、事前照会の取扱いは、誰に適用され、いつから数え、どの要件で、どの効果が生じるのかを1行で説明できるようにします。
| 確認欄 | 自分への問い |
|---|---|
| 主体 | 輸入者・輸出者・税関長・通関業者の誰か |
| 時点 | 申告前、許可前、許可後、通知後のいつか |
| 要件 | 申請、担保、証明書、金額基準などが必要か |
| 効果 | 許可、免税、納期限延長、保存義務など何が生じるか |
| 例外 | 原則を外す但書・特例がないか |
品目分類は項・注から通則6まで確認する
税関の説明では、まず項の規定と関係する部・類の注に従い、決まらない場合に通則2から5までを順に適用します。項の下の「号」は通則6で決めます。部・類の表題は参照上の便宜のためのもので、表題だけを根拠に分類してはいけません。
- 貨物の材質、用途、加工状態、構成を問題文から抜き出す
- 項の規定と部・類注を確認する
- 決まらなければ通則2から5までを必要に応じて検討する
- 号の決定は通則6と号の規定・号注で確認する
旧記事の救急箱セットの例は、提示状態や構成物品を十分に特定せず第30類と断定していました。品目分類は事実関係と注・項の文言に左右されるため、試験では問題文と与えられた関税率表解説を優先してください。
択一式は「0」を含めて消去する
第59回の択一式は、正しいものまたは誤っているものを1つ選び、該当する記述がない場合は「0」を選ぶ形式でした。1つだけそれらしい肢を見つけても、残りを確認せず確定すると「0」を見落とします。
- 設問が正しい肢・誤った肢のどちらを求めるか確認する
- 明らかに違う肢から消す
- 残った肢は主体、要件、数字、例外で再判定する
- 5肢すべてが設問の条件に合わなければ「0」を選ぶ
復習では正答番号だけでなく、誤った肢のどこを直せば正しい文章になるかを書きます。この修正作業が、選択式の5肢判定にもつながります。
計算式は先に問題の型を見分ける
計算式は6問12点です。第59回では、過少申告加算税、EPAの原産材料割合、課税価格が問われました。数字をすぐ電卓へ入れず、最初に何を求める問題かを分類します。
| 問題の型 | 最初に確認すること | 主なミス |
|---|---|---|
| 税額・加算税 | 適用税率、課税標準、税額の端数処理、加算税率 | 税率適用前後の端数処理を混ぜる |
| 原産材料割合 | 協定、原産・非原産材料、問題文の算式 | 別の協定の要件を持ち込む |
| 原則的な課税価格 | 現実支払価格と加算要素 | 非加算費用まで足す、既に含まれる額を二重加算する |
| 代替的な課税価格 | 原則法を使えない理由と、適用する方法の順序 | 同種貨物と類似貨物の優先を取り違える |
課税価格は現実支払価格と加算要素を分ける
税関のカスタムスアンサーでは、原則的な課税価格を、買手が売手に対しまたは売手のために支払った現実支払価格に、その価格へ含まれていない加算要素を加えて計算すると説明しています。
- 加算要素の例:輸入港までの運賃・保険料、買付手数料を除く仲介手数料、容器・包装費、無償提供した材料・金型等、一定のロイヤルティ、売手に帰属する収益
- 確認点:費用の名称だけで決めず、誰が誰のために支払い、輸入貨物や取引条件とどう関係するかを見る
- 二重加算防止:仕入書価格に含まれているかを先に確認する
計算用紙は根拠・式・端数処理の3段にする
計算過程を1本の長い式にすると、加算漏れや桁ずれを見つけにくくなります。練習時は、上段に適用根拠と対象額、中段に式、下段に端数処理後の解答を書くと見直しやすくなります。問題文に示された単位やマーク方法も最後に確認してください。
過去問は正答率より誤りの原因を記録する
次の3段階は資格コンパスによる練習モデルです。税関が推奨する回数ではありません。回数をこなすことより、同じ原因で失点しない状態を目指します。
- 1回目:時間を測らず、公式問題と資料を使って根拠まで確認する
- 2回目:形式別に解き、誤答を「知識不足・条件見落とし・計算・時間」に分類する
- 3回目:100分で通関実務全体を解き、自分の所要時間と再発したミスを測る
| 記録項目 | 記入例 |
|---|---|
| 問題・形式 | 第59回 第10問・計算式 |
| 誤りの原因 | 仕入書価格に含まれる費用を二重加算 |
| 次の確認動作 | 加算前に「含む・含まない」を表へ書く |
| 再演習日 | 3日後 |
| 所要時間 | 自分の実測値 |
時間配分は100分演習の実測で決める
税関の受験案内が示すのは通関実務全体100分という試験時間で、形式別の標準時間は公表していません。次は初回演習のための編集モデルです。
| 区分 | 開始時の目安 | 調整方法 |
|---|---|---|
| 選択式・択一式 | 20分 | 根拠が曖昧な肢へ印を付け、長く止まらない |
| 計算式 | 30分 | 型の判定と式を残し、桁を見直す |
| 申告書2問 | 45分 | 分類・価格・集約・入力順を一連で練習する |
| 全体見直し | 5分 | 未解答、正誤方向、マークずれを優先する |
この20・30・45・5分は公式値でも合格者共通の配分でもありません。100分演習を2回以上行い、自分の正答率が落ちない範囲で調整してください。第60回の合格基準点も受験案内では事前に固定されていないため、「何点なら必ず合格」とは断定できません。
よくある失点を試験前に止める
- 選ぶ方向の逆転:問題文の「正しい」「誤っている」を囲む
- 複数選択の見落とし:5肢すべてへ判定記号を付ける
- 択一式の0忘れ:最後に該当なしの可能性を確認する
- 古い法令での判定:第60回は2026年7月1日現在の施行法令を基準にする
- 課税価格の二重加算:現実支払価格に既に含まれるかを確認する
- 端数処理の混同:課税価格・税額・加算税のどの段階かを書き分ける
まとめ:25点は形式別の確認手順で安定させる
第60回の申告書以外は、選択式5問10点、択一式3問3点、計算式6問12点です。選択式は5肢を独立して判定し、択一式は「0」まで確認し、計算式は問題の型・式・端数処理を分けてください。
最初は第59回の公式問題と正答を使い、失点原因を記録します。通関実務全体を100分で解いた実測値が取れたら、自分に合う時間配分へ直しましょう。


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