通関業の許可・営業所・許可条件|通関業法3条・5条・8条を整理

通関業の許可、営業所と条件を整理した記事のアイキャッチ 通関業法

通関業を営むには、財務大臣の許可が必要です。許可の条件、3つの許可基準、欠格事由、営業所の新設は似た言葉が多いため、条文番号と審査対象をセットで整理しましょう。

この記事では、通関業法3条・5条・6条・8条・9条を中心に、許可を受ける人、営業所、条件の関係をまとめます。通関業法全体を先に確認したい方は、通関業法の勉強法から読むと位置づけをつかみやすくなります。

第60回通関士試験の確認点

  • 通関業法は50分、選択式41点(13問)・択一式4点(4問)の合計45点・17問
  • 出題範囲は2026年7月1日現在で施行されている法令・告示・通達
  • 合格基準は受験案内で事前に固定されていないため、「必ず6割」「満点必須」とは扱わない

通関業の許可・営業所・条件の全体像

論点原則根拠
通関業を営む財務大臣の許可を受ける3条1項
許可に条件を付ける法律の目的に必要な最小限度に限る3条2項・3項
許可を審査する3つの許可基準に適合し、欠格事由に該当しないことを確認する5条・6条
営業所を新設する財務大臣の許可を受ける8条
認定通関業者が営業所を新設する財務大臣への届出が受理されると、許可を受けたものとみなされる9条

2017年の制度改正後、通関業の許可は全国で有効です。ただし、営業所を新しく設ける手続まで不要になったわけではありません。「通関業者の許可」と「営業所の新設」を分けて覚えることが大切です。

通関業法3条|誰が財務大臣の許可を受けるのか

通関業法3条1項は、通関業を営もうとする者に財務大臣の許可を求めています。通関業とは、他人の依頼を受けて行う通関手続の代理・代行、税関官署等への不服申立ての代理・代行、税関官署への主張・陳述の代行、通関書類の作成などを、業として行うことです。

通関業法基本通達は、「業として」を、営利目的で反復継続して行う場合、または反復継続して行う意思で行う場合と整理しています。営利目的が間接的でも、他の業務に付随して無償で行う場合でも該当し得ます。単に料金を取るかどうかだけで判断しない点がポイントです。

通関業者と通関士の違い

用語成立の要件対象
通関業者通関業法3条1項の許可を受ける通関業を営む者
通関士試験合格者について、勤務先の通関業者が財務大臣へ届け出て確認を受ける通関業務に従事する個人

どちらも現在の法令上の権限者は財務大臣です。通関士の確認は試験合格だけで自動的に完了するものではありません。合格後の確認手続は通関士登録・確認の手続で詳しく整理しています。

通関業法3条2項|許可に付けられる条件

財務大臣は通関業の許可に条件を付けられます。ただし、条件は通関業法の目的を達成するために必要な最小限度でなければなりません。

条件の種類基本通達の整理覚え方
貨物限定取り扱う貨物の種類を一定のものに限定する何を扱うか
許可の期限経営状態等の追跡・監視が必要な場合に期限を付けるいつまでか

基本通達3-1は、条件の種類を貨物限定と許可期限に限っています。条件を自由に追加できるわけではありません。新規許可で期限を付ける必要があると認められる場合は3年など、場面ごとの取扱いも基本通達に定められています。

通関業法5条|許可基準は3つ

許可申請者が欠格事由に該当しないだけでは、許可の要件を満たしません。財務大臣は、次の3基準への適合を審査します。

  1. 経営の基礎が確実であること
  2. 人的構成に照らして通関業務を適正に遂行する能力があり、十分な社会的信用があること
  3. 通関業を営む営業所が、通関士の設置に関する13条の要件を備えることとなっていること

基本通達は、経営基盤について資産・収支・必要設備を確認し、人的構成について役員、通関士、従業者の資質・知識・経験、管理監督体制、配置を含めて評価するとしています。3号は単なる採用予定では足りず、試験合格者を現に雇用しているか、雇用契約等により雇用が確実と認められることが必要です。

5条と6条を混同しない

5条は「満たすべき基準」、6条は「該当すると許可できない欠格事由」です。問題文を読むときは、基準への適合を聞いているのか、欠格事由への該当を聞いているのかを先に確認しましょう。

通関業法6条|欠格事由は期間と起算点で整理する

欠格事由は11号まであります。次の表は数字が問われやすい項目を抜粋したもので、全項目の代わりではありません。

主な欠格事由期間起算点
拘禁刑以上の刑3年を経過しない刑の執行を終えた、または執行を受けることがなくなった時
関税法・租税法の一定の違反、通関業法違反による罰金刑等3年を経過しない刑の執行終了等、または通告の旨を履行した日
一定の暴力関係法令違反等による罰金刑2年を経過しない刑の執行終了等の日
許可取消し、通関業務への従事禁止2年を経過しない処分を受けた日
暴力団員でなくなった者5年を経過していない暴力団員でなくなった日

2025年6月1日に拘禁刑が施行され、現行法では「拘禁刑以上」です。古い教材の「禁錮以上」をそのまま覚えないでください。また、法人は役員の中に欠格事由該当者がいる場合や、暴力団員等に事業活動を支配されている場合も対象になります。学習時はe-Govの通関業法で11項目すべてを確認しましょう。

通関業法8条・9条|営業所の新設

通関業者が通関業務を行う営業所を新設するときは、原則として財務大臣の許可が必要です。営業所新設の審査では、5条2号の人的構成・能力・社会的信用と、5条3号の通関士設置要件が準用されます。

営業所に当たる場所

基本通達では、名称にかかわらず、実質的に通関書類の作成・審査等を行う事務所は原則として営業所に当たります。一方、職員が常駐せず連絡・待機だけに使う場所などは、一定の条件のもと営業所に当たらないと整理されています。

在宅勤務の自宅は新しい営業所ではない

通関士や従業者が情報通信機器を使って自宅で通関業務を行う場合、その自宅は所属営業所の一部として扱われます。そのため、基本通達上は8条・9条の営業所新設手続を要しません。ただし、在宅勤務の開始・変更・終了は、所定の申出と情報セキュリティ対策の確認対象です。

認定通関業者は届出の特例

認定通関業者は、営業所新設について許可申請に代えて財務大臣へ届け出ることができます。届出が受理された時に8条1項の許可を受けたものとみなされます。「認定通関業者なら手続不要」ではなく、許可から届出へ変わると整理してください。

試験で間違えやすい5つの対比

  1. 通関業者は許可、通関士は勤務先からの届出に基づく確認
  2. 5条は許可基準、6条は欠格事由
  3. 通関業の許可条件は貨物限定・許可期限
  4. 営業所新設は原則許可、認定通関業者は届出
  5. 欠格期間は数字だけでなく対象・起算点とセットにする

公式資料で確認する

まとめ

通関業の許可は「誰が・何を・どの営業所で行うか」を順に整理すると理解しやすくなります。財務大臣の許可、貨物限定・許可期限、5条の3基準、6条の欠格事由、営業所新設の原則許可と認定通関業者の届出を対比してください。

第60回試験では2026年7月1日現在の法令・通達が基準です。古い条文用語や固定の合格基準に頼らず、現行法令と公式過去問を照合して仕上げましょう。

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