2025年6月1日に懲役と禁錮が廃止され、拘禁刑が施行されました。通関業法では、6条の欠格事由、31条の通関士の確認、41条・42条の罰則に影響します。
ただし、旧教材の「懲役」「禁錮」をいつでも「拘禁刑」に置き換えればよいわけではありません。施行日前の違反行為に適用する罰則と、旧刑に処せられた人の資格判断では経過措置が異なります。この記事では、2026年7月1日現在の法令と第60回通関士試験の受験案内に基づき、現行条文と新旧法の判断順を整理します。
結論|現行条文は拘禁刑、過去の事実は経過措置を確認する
| 確認する場面 | 2026年7月1日現在の整理 |
|---|---|
| 通関業の許可の欠格事由 | 6条3号は「拘禁刑以上」。執行終了等から3年を経過しない者が対象 |
| 通関士の確認 | 31条2項1号が6条1号から9号までを参照するため、6条3号の拘禁刑も対象 |
| 通関業者等の重い罰則 | 41条は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 通関士の確認等に関する罰則 | 42条は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 2025年6月1日前の行為への罰則 | 整理法441条により原則として従前の例。行為日を確認する |
| 旧懲役・禁錮歴と現在の資格判断 | 整理法443条により、対応する拘禁刑に処せられた者とみなす |
試験では、単なる名称変更として覚えるより、現行条文・違反行為の日・資格判断のどれを問われているかを先に分けることが重要です。
第60回通関士試験では2026年7月1日の現行法が基準
第60回通関士試験受験案内では、通関業法の出題範囲を、2026年7月1日現在で施行されている法律、政令、省令、告示、通達としています。したがって、現行条文を直接問う問題では「拘禁刑」で判断します。
通関業法は50分、選択式41点(13問)・択一式4点(4問)の合計45点・17問です。拘禁刑だけを独立した暗記項目にせず、許可、確認、罰則のどの条文へつながるかを確認しましょう。
拘禁刑とは|懲役と禁錮を一本化した刑
刑法12条は拘置・作業・指導を定める
現行刑法12条は、拘禁刑を無期と有期に分け、有期拘禁刑を1月以上20年以下としています。拘禁刑に処せられた者は刑事施設に拘置され、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、または必要な指導を行うことができます。
旧懲役は所定の作業を行わせる刑、旧禁錮は刑事施設に拘置する刑でした。拘禁刑では、作業と指導を改善更生のための処遇として条文上まとめています。2025年6月1日以後の行為に適用される刑法では、懲役と禁錮が拘禁刑へ一本化されました。
施行前の懲役・禁錮の裁判は消滅しない
拘禁刑の施行によって、過去の懲役・禁錮の確定裁判が拘禁刑へ自動的に変更されるわけではありません。令和4年法律第68号442条は、懲役・禁錮等の確定裁判の効力と執行について、原則として従前の例によると定めています。
6条・31条|欠格事由と通関士の確認への影響
6条3号は「拘禁刑以上」と3年を一組で覚える
現行通関業法6条3号は、拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者を、通関業の許可の欠格事由としています。3年の起算点は単なる判決日ではなく、条文にある執行終了等の時点です。
また、法人では役員のうちに6条各号の欠格事由へ該当する者がいる場合も、6条10号の対象です。刑名だけでなく、本人・法人役員・3年の関係まで確認してください。
31条は6条1号から9号までを参照する
通関士試験に合格しただけで、自動的に通関士として従事できるわけではありません。31条1項の確認が必要で、31条2項1号は6条1号から9号までのいずれかに該当する者を、通関士になれない者としています。
そのため、6条3号の「拘禁刑以上」と3年は、通関業の許可だけでなく通関士の確認にもつながります。31条が6条全号を参照しているわけではなく、1号から9号までである点も分けて覚えましょう。
41条・42条|拘禁刑を含む罰則は2段階
| 条文 | 法定刑 | 対象となる主な行為 |
|---|---|---|
| 41条 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 不正な許可、無許可営業等、秘密漏えい・盗用、通関業者の業務停止違反 |
| 42条 | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 不正な通関士の確認、通関士の従業停止・禁止違反 |
| 43条 | 50万円以下の罰金 | 業務改善命令違反、報告・質問・検査への違反 |
| 44条 | 30万円以下の罰金 | 名義貸し、名称使用制限違反 |
拘禁刑への用語変更が直接現れるのは41条と42条です。43条・44条は罰金のみなので、「通関業法の罰則はすべて拘禁刑へ変わった」とまとめてはいけません。
41条と42条は、通関業者側と通関士側の停止違反を入れ替えた肢に注意します。詳しい違反行為と45条の両罰規定は、通関業法の罰則・雑則で確認できます。
経過措置|行為への罰則と人の資格を分ける
施行日前の行為の処罰は原則として旧法
整理法441条1項は、刑法等の改正法と整理法の施行前にした行為の処罰について、別段の定めがある場合を除き、従前の例によると定めています。したがって、2025年5月31日までに行われた通関業法違反の法定刑を問うときは、判決日だけでなく違反行為の日を確認します。
一方、2025年6月1日以後の行為について現行41条・42条を適用する場面では拘禁刑です。「判決が施行後なら、施行日前の行為も必ず拘禁刑」とは判断しません。
旧刑歴を現在の資格判断から除外しない
人の資格については別の経過措置があります。整理法443条1項は、旧懲役または旧禁錮に処せられた者について、無期なら対応する無期拘禁刑、有期なら刑期を同じくする有期拘禁刑に処せられた者とみなします。
そのため、6条3号が現行法で「拘禁刑以上」となったからといって、施行前の懲役・禁錮歴が欠格事由の判断から一律に外れるわけではありません。行為を処罰する場面は441条、許可・確認など人の資格を判断する場面は443条という切り分けが重要です。
過去問・旧教材は4つの質問で判定する
- 基準日はいつか:第60回の現行法問題なら2026年7月1日現在を使う。
- 何を問うか:条文の現在の文言、違反行為への罰則、人の資格のどれかを分ける。
- 違反行為はいつか:2025年6月1日の前か後かを確認する。
- 旧刑歴をどう扱うか:現在の資格判断では整理法443条のみなし規定を確認する。
旧教材の条文説明を学ぶときは、まずe-Govの現行条文へ更新します。ただし、過去問が当時の法令や施行日前の事実を明示している場合まで、問題文の「懲役」「禁錮」を機械的に書き換えないでください。
誤答したら「刑名を忘れた」で終えず、基準日・条文・行為日・資格のどこで判断を誤ったかを記録します。通関業法全体の復習順は通関業法の勉強法へ戻ると整理しやすくなります。
よくある疑問
懲役と禁錮という言葉は、もう出題されませんか?
現行条文の刑名は拘禁刑ですが、経過措置や施行日前の行為、旧法を前提にした過去問では懲役・禁錮が関係します。第60回の現行法だけを問う肢と、過去の事実関係を含む肢を分けてください。
欠格期間の3年も改正されましたか?
6条3号の刑名は拘禁刑へ変わりましたが、執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから3年という期間は現行条文でも維持されています。起算点を判決日と決めつけないことが重要です。
通関士試験に合格済みなら31条は関係ありませんか?
関係します。試験合格と通関士としての確認は別です。通関業者が通関士として従事させるときは31条1項の確認を受ける必要があり、31条2項の欠格事由を確認します。
まとめ|拘禁刑だけでなく経過措置まで確認する
2026年7月1日現在、通関業法6条3号、41条、42条は拘禁刑を用いています。31条は6条1号から9号までを参照するため、拘禁刑以上の刑に関する欠格事由は通関士の確認にもつながります。
施行日前の行為への罰則は整理法441条、旧懲役・禁錮歴と現在の資格判断は443条を使います。現行語へ一律に置き換えず、基準日・行為日・資格の順に判断しましょう。次は41条から45条の罰則で、違反行為と法定刑を一組にして確認してください。


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