課税物件の確定の時期|関税法4条の原則・例外一覧

課税物件の確定時点を貨物・時計・法令の天秤で表したアイキャッチ 関税法等

「課税物件の確定の時期」は、どの時点の貨物の性質・数量を使うかを決める関税法4条の論点です。原則は輸入申告の時ですが、保税蔵置、保税作業、亡失、運送未到着、郵便物などには個別の時点があります。

この記事では、2026年7月1日現在の現行法令に基づき、4条1項ただし書の例外を号ごとに整理します。あわせて、適用法令を決める5条、納税義務者を決める6条との違いも確認します。

最初に結論|4条が固定するのは貨物の性質・数量

関税法4条が定めるのは、関税計算の基礎となる貨物の性質と数量を、いつの現況で捉えるかです。価格や税率を直接決める条文ではありません。

確認するもの主な条文見るポイント
課税物件関税法3条・4条貨物の性質・数量をいつ固定するか
適用法令関税法5条どの日に適用される法令を使うか
納税義務者関税法6条ほか誰が関税を納めるか
課税標準・税率関税定率法など価格・数量と税率から税額をどう求めるか

問題文を読んだら、まず「性質・数量」「適用法令」「納税義務者」のどれを聞いているかを切り分けましょう。

原則は輸入申告の時

関税法4条1項本文は、関税を課する場合の基礎となる貨物の性質・数量を、輸入申告の時における現況によると定めています。例外に当たらない輸入貨物は、この原則で判断します。

ここでの「時」と、5条の「輸入申告の日」は同じ表現ではありません。4条は貨物の現況を時点で固定し、5条は適用法令を日で決めるため、条文の目的と単位を混同しないことが大切です。

例外一覧|4条1項1号から8号まで

例外は、貨物が通常の輸入申告まで同じ状態で管理されるとは限らない場面に置かれています。まず、号・対象・確定時期を対応させます。

対象の要点課税物件の確定の時期
1号保税蔵置場・総合保税地域に置かれた外国貨物蔵入承認・総保入承認の時
2号保税工場・総合保税地域の保税作業による製品原料について置くこと・使用・作業が承認された時
3号保税工場外の作業場所等に指定期間後も置かれた外国貨物場外作業等の許可の時
3号の2保税展示場等の販売・消費目的貨物、加工製品等展示場への入れる承認・総合保税地域への届出の時
3号の3許可期間満了後も保税展示場にあり関税を徴収される貨物関税を徴収すべき事由が生じた時
4号保税地域等で亡失・滅却した外国貨物亡失・滅却の時
5号期間内に積み込まれない船用品・機用品、到着しない保税運送貨物積込み・運送の承認の時(包括承認には特則)
5号の2期間内に到着しない特定保税運送貨物・郵便物発送の時
5号の3到着前に輸入申告され、輸入許可を受けた貨物輸入許可の時
6号税関に提示された一定の輸入郵便物提示の時
7号収容・留置貨物、差押・領置物件の公売・売却公売・売却の時
8号無許可輸入貨物、提示されず輸入された郵便物輸入の時

各号には「ほかの号に掲げるものを除く」といった除外があります。表は全体像をつかむための要約なので、個別事例では関税法4条の現行条文(e-Gov)で対象と除外を確認してください。

1号・2号|保税蔵置と保税作業

保税蔵置場は「置くことが承認された時」

1号の対象は、蔵入承認または総保入承認を受けて置かれた外国貨物です。現にその場所にある貨物だけでなく、基本通達4―1では、以前に承認を受けて置かれたことのある貨物も含むとされています。

ただし、長期蔵置中に欠減するものとして政令で定める貨物などは1号から除外されます。関税法施行令2条の対象・除外まで確認して、単に「保税蔵置場なら必ず承認時」と覚えないようにしましょう。

保税作業の製品は原料の承認時

2号は、保税作業による製品である外国貨物について、原料である外国貨物を置くこと、保税作業に使用することなどが承認された時を基準にします。完成品になった時ではありません。

3号台|場外作業と保税展示場

3号は指定期間経過後も場外にある貨物

保税工場外の保税作業や保税展示場外の使用について、指定期間を過ぎても指定場所にある外国貨物は、場外作業等の許可の時が基準です。

3号の2と3号の3を分ける

販売・消費目的で保税展示場等に入れる貨物や対象となる加工製品は、承認・届出の時が基準です。一方、許可期間満了後も保税展示場に残り、関税を徴収される貨物は、徴収すべき事由が生じた時が基準です。

旧記事のように、保税展示場の対象を一律に「消費・使用の時」とすると3号の2を取り違えます。対象貨物と条文上の事由を先に特定してください。

4号・5号台|亡失、積込み、運送、到着前申告

亡失・滅却は除外される号を先に確認

保税地域等にある外国貨物が亡失・滅却した場合は、原則としてその時が基準です。ただし1号・2号・3号の2・5号・5号の2・8号などに該当するものは4号から除かれます。設問では「亡失した」という語だけで4号へ直行せず、先に貨物の履歴を確認します。

承認運送と特定保税運送では基準が違う

期間内に積み込まれない船用品・機用品や、承認を受けた保税運送貨物が到着しない場合は5号です。これに対し、特定保税運送や届出による郵便物の保税運送で期間内に到着しない場合は5号の2となり、発送の時を基準にします。

到着前申告貨物は輸入許可の時

関税法67条の2第3項3号に該当して到着前に輸入申告され、輸入許可を受けた貨物は、5号の3により輸入許可の時が基準です。特例申告貨物一般のルールとして広げないことが重要です。

6号〜8号|郵便物、公売、無許可輸入

見分ける語確定の時期
税関への提示がされた一定の郵便物6号提示の時
収容・留置・差押・領置+公売・売却7号公売・売却の時
輸入許可なし、または郵便物の提示なし8号輸入の時

6号の郵便物には、課税標準となるべき価格が20万円を超えるものなどの除外があります。金額だけで結論を出さず、寄贈物品その他の政令上の例外も含めて確認します。

4条と5条|同じ時点になるとは限らない

関税法5条の原則は、輸入申告の日において適用される法令です。ただし、4条1項3号・3号の3から8号までの貨物などは、各号の時の属する日に適用される法令を使います。

また、保税蔵置場等の貨物や保税作業による製品で、輸入申告後から輸入許可等までに適用法令が改正された場合は、5条2号により輸入許可・承認の日の法令を使います。

場面4条の現況5条の適用法令
通常の輸入申告輸入申告の時輸入申告の日
1号の保税蔵置貨物蔵入・総保入承認の時原則は輸入申告の日
輸入申告後、許可前に法令改正があった対象貨物4条の該当時点輸入許可・許可前引取り承認の日
4号の亡失貨物亡失の時亡失した日の法令

「4条の例外なら、適用法令は常に輸入申告日」とも、「常に4条と同じ日」とも限りません。5条の列挙へ戻って判断します。

変質・損傷は課税価格・減税も別に確認

保税蔵置場等の貨物が輸入申告・輸入許可までに変質または損傷した場合、基本通達4―2は、関税定率法4条の5の課税価格決定や同法10条1項の減税があり得ることに注意を促しています。

したがって、「4条で承認時に固定されるから、損傷前の価値で必ず課税される」とは言い切れません。4条の性質・数量と、課税価格・減税の規定を分けて検討します。

過去問での解き方|対象・除外・時期の3段階

  1. 対象を特定する:保税蔵置、保税作業、亡失、運送未到着、郵便物など、どの号の候補かを拾います。
  2. 除外を確認する:同じ貨物が別の号に掲げられていないか、政令で除外されないかを確認します。
  3. 聞かれた時期を答える:課税物件なら4条、適用法令なら5条、納税義務者なら6条以下に戻ります。

第60回通関士試験の「関税法等」は100分です。受験案内では、2026年7月1日現在で施行されている法令等を出題範囲としています。条文の号番号まで丸暗記するより、まず対象と時点を往復できる表を作り、税関公表の第59回試験問題・正答で出題文の条件を拾う練習をしてください。

公式資料

まとめ

  • 4条は、関税計算の基礎となる貨物の性質・数量を固定する。
  • 原則は輸入申告の時。例外は1号から8号まで対象と除外をセットで確認する。
  • 適用法令は5条、納税義務者は6条以下で別に判断する。
  • 変質・損傷では、関税定率法上の課税価格・減税も切り分ける。

最短の復習方法は、設問ごとに「対象貨物→除外→4条の時点→5条の日」の順でメモすることです。条文の言葉を保ったまま比較すると、似た例外を整理しやすくなります。

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