関税の確定・納付・徴収は、「税額を決める方式」「いつ・どう納めるか」「未納時にどう徴収されるか」を分けると整理できます。通関士試験では、申告納税方式と賦課課税方式、納期限延長の3方式、附帯税の要件を混同しないことが重要です。
この記事では、2026年7月1日現在の関税法と税関資料に基づき、関税が確定してから納付・徴収に至る流れを解説します。税率や加算税は要件によって変わるため、数字だけでなく「誰が・何を契機に確定させるか」から押さえましょう。
関税の確定・納付・徴収は3段階で考える
| 段階 | 確認すること | 関税法の主な条文 |
|---|---|---|
| 確定 | 申告納税方式か賦課課税方式か。誰の申告・処分で税額が確定するか | 6条の2、7条〜8条 |
| 納付 | 納期限、納税告知、納付方法、納期限延長 | 9条〜9条の9 |
| 徴収 | 優先順位、担保、未納時の徴収 | 9条の10〜11条 |
「確定」は税額が法的に定まる段階です。「納付」はその確定額を期限までに納める段階、「徴収」は未納時を含め税関が税を確保する段階です。附帯税は、この流れに付随して課されます。
税額の確定方式は申告納税方式と賦課課税方式
申告納税方式は納税申告を基礎に確定する
申告納税方式では、納税義務者が課税標準や税額を申告し、その申告により納付すべき税額が確定します。申告がない場合や申告額が過少な場合には、税関長の決定または更正によって確定します。
- 当初の納税申告:申告した税額が確定する
- 修正申告:税額が少なすぎたとき、納税者が増額訂正する
- 更正の請求:税額が多すぎたとき、納税者が減額更正を求める
- 更正・決定:税関長が申告税額を訂正し、または無申告時の税額を決める
無申告時に税関長が本税を「決定」しても、本税の確定方式そのものは申告納税方式です。一方、無申告加算税は賦課課税方式で確定します。「決定」という言葉だけで方式を判定しないでください。
賦課課税方式は税関長の処分で確定する
賦課課税方式では、関税法6条の2第1項2号に定める関税について、税関長の賦課決定により納付すべき税額が確定します。代表例は、旅客の携帯品、一定の郵便物、関税法・関税定率法等の規定で直ちに徴収する関税、加算税です。
| 比較 | 申告納税方式 | 賦課課税方式 |
|---|---|---|
| 確定の起点 | 原則として納税義務者の納税申告 | 税関長の賦課決定 |
| 申告に誤りがある場合 | 修正申告・更正の請求・更正 | 賦課決定の変更や不服申立てを検討 |
| 代表例 | 一般の輸入貨物に係る関税 | 旅客の携帯品、一定の郵便物、加算税など |
税関長の処分に不服がある場合は不服申立ての対象になり得ます。ただし、申告納税方式で納めすぎた税額には更正の請求があるため、「誤りの救済はすべて不服申立てだけ」とは整理しません。
関税の納期限は申告・決定の種類で変わる
一般の輸入申告は原則として輸入許可までに納付する
申告納税方式の一般的な輸入貨物は、原則として輸入許可を受けるまでに関税を納付します。特例申告貨物は、特例申告書の提出期限までに納付するのが原則です。修正申告による増加税額は、修正申告書を提出した日が納期限になります。
納期限延長は個別・包括・特例の3方式
| 方式 | 対象と延長期間 | 担保 |
|---|---|---|
| 個別延長 | 個々の輸入申告ごと。輸入許可日の翌日から3か月以内 | 税額に相当する担保が必要 |
| 包括延長 | 特定月分の輸入申告をまとめる。その月末の翌日から3か月以内 | 税額に相当する担保が必要 |
| 特例延長 | 特例申告書の提出期限から2か月以内 | 特例輸入者は、保全上必要な場合を除き不要 |
納期限延長は納税の便宜を図る制度です。「包括延長だけが正式名称」「どの方式でも必ず担保が必要」「すべて最大3か月」と覚えると誤りになります。
納付方法と納税告知を区別する
関税等は、納付書による日本銀行への納付のほか、マルチペイメントネットワーク、リアルタイム口座振替方式など所定の方法で納付できます。納付方法は利用条件が異なるため、実務では税関・NACCSの最新案内を確認します。
賦課課税方式で確定する関税などは、原則として納税告知書によって納税を告知します。申告納税方式の当初申告額を自ら納付する場面と、税関長が告知する場面を分けて覚えましょう。
不足・未納時は修正手続、附帯税、徴収を順に見る
納税申告の誤りは多いか少ないかで手続が分かれる
- 納付額が少ない:修正申告。増加税額の納期限は提出日で、延滞税も確認する
- 納付額が多い:更正の請求。原則として輸入許可の日から5年以内
- 申告がない:税関長が本税を決定し、決定通知の翌日から1か月以内に納付する
修正申告と更正の請求の要件・期間は、次回の記事で詳しく扱います。
附帯税は4種類を要件とセットで整理する
| 種類 | 主な要件 | 2026年7月時点の要点 |
|---|---|---|
| 延滞税 | 関税を法定納期限までに完納しない | 2026年は原則、所定期間が年2.8%、納期限後2か月超が年9.1%。日割り計算 |
| 過少申告加算税 | 調査後の修正申告や増額更正 | 原則10%。調査通知後・更正予知前の修正申告は5%。調査通知前の自主修正は原則として課されない |
| 無申告加算税 | 期限後特例申告、税関長の決定など | 原則15%。50万円超部分は20%、責めに帰すべき事由がない税額を除き300万円超部分は30% |
| 重加算税 | 隠蔽・仮装がある過少申告または無申告 | 過少申告に代えて35%、無申告に代えて40%。一定の場合は加重措置あり |
率だけでなく、調査通知前か後か、更正を予知する前か後か、隠蔽・仮装があるかを確認します。附帯税は自動的にすべて併課されるわけではありません。
納期限までに完納されないと国税徴収の例で徴収される
担保がない関税が納期限までに完納されない場合などは、関税法11条により国税徴収の例で徴収されます。通常は督促を経て、なお完納されなければ滞納処分へ進みます。
また、関税は、その関税を徴収すべき外国貨物について、他の公課や債権に先立って徴収されます。担保が提供されている場合は、担保の処分・充当との関係も確認します。
通関士試験は5段階で解く
- 確定方式:申告納税方式か賦課課税方式か
- 確定行為:申告、修正申告、更正、決定、賦課決定のどれか
- 納期限:一般、特例申告、修正申告、納税告知、延長後のどれか
- 附帯税:調査通知・更正予知・無申告・隠蔽仮装を確認
- 未納時:担保、督促、国税徴収の例による徴収を確認
第60回通関士試験は、関税法等が11時から12時40分までの100分です。適用法令等は2026年7月1日現在施行のものが基準です。制度名だけで判断せず、設問の時点と要件に線を引いてください。
公式資料
まとめ
- 確定方式は申告納税方式と賦課課税方式の2つ
- 納期限延長は個別・包括・特例の3方式で、期間と担保要件が異なる
- 申告誤りは修正申告・更正の請求、未納は附帯税と徴収の流れを確認する
- 附帯税は率だけでなく、調査通知・更正予知・隠蔽仮装などの要件で判断する


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