通関士試験の科目免除は、通関業者の通関業務や官庁の対象事務に通算5年以上または15年以上従事した人が申請できる制度です。5年以上なら「通関実務」の1科目、15年以上なら「関税法等」と「通関実務」の2科目が免除されます。
ただし、勤続年数だけで自動的に免除されるわけではありません。担当業務が制度の対象かを確認し、勤務先などが作成する証明書を添えて、受験申込みと同じ期間に申請する必要があります。
この記事では、2026年7月28日に確認した第60回通関士試験受験案内と税関の科目免除案内に基づき、対象者、期間計算、必要書類、郵送・NACCSでの申請方法を整理します。
通関士試験の科目免除は5年と15年で範囲が違う
| 対象となる経験 | 免除される科目 | 受験する科目 |
|---|---|---|
| 対象業務に通算5年以上 | 通関書類の作成要領その他通関手続の実務(通関実務) | 通関業法、関税法等 |
| 対象業務に通算15年以上 | 関税法等、通関実務 | 通関業法 |
15年以上で免除される「関税法等」には、関税法、関税定率法、その他の関税関係法令、外国為替及び外国貿易法のうち第6章に関する部分が含まれます。試験科目名は受験案内の表記に合わせて確認してください。
免除は有利な制度ですが、合格を保証するものではありません。受験する科目では、それぞれ合格基準を満たす必要があります。免除区分別の合格率だけを根拠に「簡単」「勉強不要」と判断せず、残る科目を本試験形式で測ることが大切です。
対象になる実務経験を確認する
通関業者と官庁で対象業務の表現が異なる
- 通関業者での経験:通関業務に従事した期間
- 15年以上の官庁経験:税関の事務とその監督に係る事務を含む、関税その他通関に関する事務に従事した期間
- 5年以上の官庁経験:税関における貨物の通関事務とその監督に係る事務に従事した期間
会社に在籍していた期間のすべてが、そのまま対象になるとは限りません。税関は、自己の判断を要しない単純な入力・タイプ事務、使送事務、貨物の内容点検業務など、特別の判断を必要としない機械的事務を対象業務に含めないと案内しています。
職種名だけで判断が難しい場合は、担当業務の内容、所属部署、従業者証票番号、従事期間を整理したうえで、勤務先の担当者や受験地を管轄する税関の通関業監督官へ早めに確認しましょう。
従事期間は月単位で通算する
- 始期は、対象業務や事務に最初に従事した日です。
- 終期は、対象業務に従事しなくなった日の前日、または受験願書の受付締切日です。
- 始期と終期が属する月は、それぞれ1か月として計算します。
- 途中に対象業務へ従事していない期間がある場合は、各期間を計算して合算します。
- 同じ月に離任と再従事がある場合は、その月は引き続き従事したものとして扱います。
転職や異動がある人は、1社だけの在籍年数で判断せず、対象業務に従事した期間を勤務先ごとに分けて確認してください。
初めて科目免除を申請するときの必要書類
| 書類 | 作成する人・確認点 |
|---|---|
| 科目の一部免除申請書(B-1210) | 受験者本人が、免除希望科目と経歴を記入 |
| 証明書(B-1215) | 従事した通関業者・官庁などが、担当業務と期間を証明 |
| 受験願書・受験票 | 受験案内に従って作成。書面申請では免除書類と一括提出 |
| 返信用封筒 | 初回申請では受験票と免除通知書等の返送に使うため、A4が入る角形2号と所要の切手を用意 |
B-1215は受験者本人ではなく、従事した通関業者・官庁などが作成します。大阪税関の記載要領では押印不要とされています。転職などで証明者が複数になる場合は、それぞれの証明者による証明書が必要です。
通関業者が死亡・解散して証明を得られない場合でも、その通関業者が所属していた組織団体が事実を証明できれば、証明者になれる場合があります。自己判断で別書類に置き換えず、管轄税関へ相談してください。
郵送とNACCSで申請方法が違う
書面で初めて申請する場合
- B-1210を受験者本人が作成する
- 勤務先などへB-1215の作成を依頼する
- 受験願書、受験票、B-1210、B-1215、切手を貼った返信用封筒をそろえる
- 受験地を管轄する税関へ、追跡できる方法で提出する
免除申請の提出期間は受験願書の受付期間と同じです。審査に時間がかかるため、税関はできる限り早い提出を案内しています。
NACCSで初めて申請する場合
NACCSで受験願書と科目免除申請を行い、勤務先などが作成したB-1215の写しを電子ファイルで添付します。ただし、受験票と返信用封筒は別途郵送が必要です。NACCSは事前に利用申込みが必要なため、初めて使う人は準備期間を見込んでください。
すでに免除通知書を持っている場合
以前の申請で交付された「通関士試験科目の一部免除通知書」には有効期限がありません。次回以降は通知書の写しを提出し、原本は手元で保管します。NACCSでは写しを電子ファイルで添付できます。
申請が認められた場合は免除通知書、認められなかった場合は申請却下通知書が受験票とともに交付されます。申請しただけで免除が確定したと考えず、届いた通知の内容を確認してください。
第60回試験で申請する人の期限
| 提出方法 | 受付期間・期限 | 受験手数料 |
|---|---|---|
| 書面(原則郵送) | 2026年7月21日〜8月4日。8月4日までの消印有効 | 3,000円分の収入印紙 |
| NACCS | 2026年7月21日10時〜8月4日17時 | 2,900円を期限内に電子納付 |
第60回試験は2026年10月4日に実施されます。書面申請は第60回から原則郵送のみです。提出先や受験票の入手方法は受験地によって確認先が異なるため、第60回通関士試験の公式ページと管轄税関の案内を必ず確認してください。申込み全体の流れは通関士試験の申込み方法でも整理しています。
免除後は残る科目に学習範囲を合わせる
| 区分 | 本試験で対策する科目 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 5年以上・1科目免除 | 通関業法、関税法等 | 両科目を本試験形式で解き、科目別に弱点を分ける |
| 15年以上・2科目免除 | 通関業法 | 実務経験だけで判断せず、法令基準日と出題形式を確認する |
第60回の通関業法は9時30分から10時20分までで、選択式41点・択一式4点です。出題範囲は2026年7月1日現在で施行されている法令・告示・通達が基準になります。経験年数と試験知識は同じではないため、まず受験年度の問題形式で現在地を確認しましょう。
- 通関士試験の過去問戦略で、年度別演習までの進め方を確認する
- 通関業法の学習ポイントで、残る科目の範囲を整理する
- マークシートの記入・見直し手順まで含めて本番形式で練習する
教材の周回数や必要時間に公式の一律基準はありません。間違えた理由を条文知識、選択肢の読み違い、法改正、時間配分に分け、再発した弱点を優先してください。
通関士試験の科目免除に関するよくある質問
勤務年数が5年または15年あれば必ず免除されますか?
必ずではありません。対象となる通関業務・官庁事務に従事した期間であることが必要で、機械的事務などは含まれません。提出後に税関が審査し、免除または却下を決定します。
転職前の勤務期間も通算できますか?
対象業務であれば通算できます。ただし、複数の通関業者・官庁での期間を使う場合は、それぞれの証明者によるB-1215を用意します。
免除通知書は毎年取り直しますか?
免除通知書に有効期限はありません。すでに交付を受けている場合は、次回以降の出願で写しを提出します。原本は送らず、紛失しないよう保管してください。
証明書を自分で作成して会社に確認してもらえますか?
税関の案内では、B-1215は従事した通関業者・官庁などが作成する書類です。受験者本人が作成した証明書は受け付けられないとされているため、勤務先の担当部署へ正式に依頼してください。
まとめ|年数・業務内容・証明書を早めに確認する
通関士試験の科目免除は、対象業務に通算5年以上なら通関実務、15年以上なら関税法等と通関実務が免除される制度です。勤続年数だけで決まるのではなく、業務内容、期間計算、証明者、提出書類の審査があります。
対象になりそうなら、まず担当業務と在籍期間を勤務先ごとに整理し、B-1215の作成を早めに依頼してください。免除通知書を受け取った後は、残る科目に学習範囲を絞り、受験年度の問題形式で仕上げましょう。


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