第60回通関士試験「通関業法」の全17問について、資格コンパスの独自解答と、正誤を分ける根拠を問題順に解説します。穴埋め問題は完成する条文を示し、複数選択・択一問題は正解肢だけでなく、迷いやすい誤りのポイントも整理しました。
解答は、税関が公開した第60回通関士試験の問題、通関業法・同施行令、税関の通関業法基本通達を基に資格コンパスが独自に判断したものです。税関の公式正答が公表された場合は、公式情報を優先してください。
先に結論
- 第1問~第5問:13・8・11・12・10/10・2・4・7・14/3・10・12・15・9/12・9・2・6・4/12・2・13・11・10
- 第6問~第13問:1・2・5/2・4/2・5/1・4・5/1・4/3・4/2・4/1・2・4
- 第14問~第17問:1/1/3/3
第60回通関士試験「通関業法」の解答一覧
| 問題 | 資格コンパスの解答 | 形式 |
|---|---|---|
| 1 | 13・8・11・12・10 | 穴埋め |
| 2 | 10・2・4・7・14 | 穴埋め |
| 3 | 3・10・12・15・9 | 穴埋め |
| 4 | 12・9・2・6・4 | 穴埋め |
| 5 | 12・2・13・11・10 | 穴埋め |
| 6 | 1・2・5 | 複数選択 |
| 7 | 2・4 | 複数選択 |
| 8 | 2・5 | 複数選択 |
| 9 | 1・4・5 | 複数選択 |
| 10 | 1・4 | 複数選択 |
| 11 | 3・4 | 複数選択 |
| 12 | 2・4 | 複数選択 |
| 13 | 1・2・4 | 複数選択 |
| 14 | 1 | 択一 |
| 15 | 1 | 誤りを選択 |
| 16 | 3 | 択一 |
| 17 | 3 | 誤りを選択 |
第6問から第13問は、正しい選択肢をすべて選べた場合にのみ得点されます。自己採点では部分点を見込まず、選択肢の組合せまで確認してください。
第1問~第5問の解説|条文の穴埋め
第1問:目的と「通関業務」の定義
解答は13・8・11・12・10です。完成文は「業務の適正な運営を図ることにより、関税の申告納付その他貨物の通関に関する手続の適正かつ迅速な実施を確保する」です。通関業務は、依頼者の「代理又は代行」をすることと定義されています。
「賦課徴収」「迅速な処理」など意味が近い語句ではなく、通関業法第1条・第2条の文言をそのまま選ぶ問題です。
第2問:通関業の許可の承継
解答は10・2・4・7・14です。相続人が複数いる場合の選定は全員の同意、承認申請は死亡後60日以内です。合併による承継はあらかじめ承認を受け、原則として合併しようとする法人が連名で申請します。登録免許税は、事業譲渡による承継を除いて非課税です。
「過半数」と「全員」、「合併後」と「あらかじめ」を入れ替えないことがポイントです。
第3問:営業所に置く通関士の人数
解答は3・10・12・15・9です。通関士の人数は、通関業務に係る貨物の数量・種類と、通関書類の数・種類・内容に応じた必要な員数です。適正かつ迅速な手続が実施できていない場合、税関長は利用者保護の観点などから、通関士の増員等について助言します。
第4問:更正前の意見聴取と検査通知
解答は12・9・2・6・4です。法令解釈の相違により納付すべき関税額を増加させる更正では、通関業者に意見を述べる機会を与えます。ただし、計算・転記ミスなど客観的に明らかな誤りは除外されます。
検査通知は口頭でも書面でもよく、検査指定票の交付で代えることもできます。「必ず書面」とする選択肢は誤りです。
第5問:通関士になれない者と懲戒
解答は12・2・13・11・10です。通関業法違反で罰金刑を受け、執行終了などから3年を経過しない者、暴力団員でなくなって5年を経過しない者は通関士になれません。破産手続開始の決定を受け復権を得ない者に該当すると、通関士でなくなります。
税関長が懲戒処分をしようとするときは、本人が勤務する通関業者の意見を聴きます。
第6問~第13問の解説|複数選択
第6問:通関業務と関連業務
正しいものは1・2・5です。関税率表上の所属に関する事前教示の求めは関連業務、不服申立てと、総合保税地域に外国貨物を置く承認申請は通関業務に含まれます。
- 3が誤り:保税運送の申告は、この設問でいう通関業務には含まれません。
- 4が誤り:通関業の許可を受けても、別の法律による業務制限が自動的に解除されるわけではありません。
第7問:通関業務を行う営業所
正しいものは2・4です。取引先の施設で通関書類を作成し、通関士の審査まで行う場所は営業所に当たります。災害時などのサテライトオフィスは、必要な期間に限り所属営業所の一部として扱えます。
- 1が誤り:名称に「営業所」と付いているだけで、連絡・待機場所が当然に営業所になるわけではありません。
- 3が誤り:在宅勤務場所を所属営業所の一部として扱う場合、新しい営業所としての届出を要するとする部分が誤りです。
- 5が誤り:認定通関業者の営業所新設届に、記載の添付書類を常に必要とする整理ではありません。
第8問:通関業の許可の欠格事由
正しいものは2・5です。精神機能の障害により、必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない者は欠格に該当します。法人の役員に、拘禁刑以上の刑の執行終了などから3年を経過しない者がいる場合も欠格です。
1は、許可取消しによる欠格期間と通告処分による欠格期間を混同しています。取消しは処分日から2年、通告処分はその旨を履行した日から3年です。3の日本銀行職員も、法令上公務に従事する職員とみなされるため除外できません。4は、両罰規定で法人が罰金刑を受けた場合まで、通関業法第6条の「違反行為をして罰金刑に処せられた者」に含めた点が誤りです。基本通達6-2は、行為者として処罰された場合をいい、両罰規定による処罰は含まれないと整理しています。
第9問:許可の消滅と取消し
正しいものは1・4・5です。法人が合併・破産以外で解散した場合は清算人が届け出ます。欠格役員を取消し前に更迭しても、違反事実について監督処分の対象になり得ます。欠格事由により許可を取り消した場合は公告されます。
- 2が誤り:破産時の進行中手続について、直ちに依頼者へ返すか他社へ引き継ぐとする整理ではありません。
- 3が誤り:不正な手段による許可取得は、許可の「消滅」ではなく「取消し」の問題です。
第10問:変更等の届出
正しいものは1・4です。氏名・名称・住所、法人役員の氏名・住所、通関業以外に営む事業の種類の変更は届出事項です。
一般従業者の「人数」、掲示料金の「額」、営業所施設の「所有者」の変更は、同条の変更届事項として列挙されていません。従業者は人数ではなく、氏名と異動を別途届け出る点と区別します。
第11問:通関業者・通関士の義務
正しいものは3・4です。裁判所で鑑定人として陳述する場合は、秘密を開示できる「正当な理由」に当たり得ます。信用失墜行為は通関士への懲戒処分の対象です。
- 1が誤り:異動届が出るまで名義貸しが許されるという例外はありません。
- 2が誤り:料金変更時に、変更理由まで掲示する義務はありません。
- 5が誤り:通関士の設置義務がない営業所でも、実際に通関士を置けば対象書類の審査・記名が必要です。
第12問:通関士として従事させるための確認
正しいものは2・4です。同一の通関業者内で別の営業所へ異動しても、通関士の確認を受け直す必要はありません。ただし、従業者の異動届は必要です。他社ですでに確認を受けている通関士を併任させる場合は、その会社の承諾書を添付します。
- 1が誤り:確認の届出先は受験地ではなく、実際に従事する営業所を基準に判断します。
- 3が誤り:刑の執行終了後2年では欠格期間を満たしません。
- 5が誤り:試験合格後10年で合格資格が失効する規定はありません。
第13問:監督処分と業務改善命令
正しいものは1・2・4です。通関業務の停止は原則として全部が対象ですが、事情により違反営業所だけを対象にできます。停止期間後の適正な執行に必要なら業務改善命令を併せることができ、誰でも監督処分事由を財務大臣へ申し出られます。
- 3が誤り:従業者の違反について通関業者に監督上の故意・過失があれば、監督処分の対象になり得ます。
- 5が誤り:進行中の通関手続があるだけで、停止処分の開始を必ず猶予する規定ではありません。
第14問~第17問の解説|択一
第14問:通関士が審査する通関書類
正解は1です。本邦と外国との間を往来する船舶への船用品の積込みに係る承認申告書は、通関士が審査・記名する通関書類に含まれます。
関税の納期限延長申請書、開庁時間外の届出書、許可前引取り承認申請書、見本一時持出許可申請書は、本問で問われた通関業法第14条の審査対象には当たりません。「税関へ出す書類なら全部」ではない点が重要です。
第15問:「通関士」と表示できる時点
誤っているものは1です。試験に合格しただけでは、まだ通関士として従事できません。財務大臣の確認前に、採用内定を理由として口頭で「通関士」と表示することもできません。
帳簿・書類の3年保存、派遣労働者を含む従業者届、一般に知られている事実は守秘義務上の秘密に当たらないこと、法人の定期報告書への貸借対照表・損益計算書の添付は正しい記述です。
第16問:記帳・届出・報告
正解は3です。依頼者から通関業務の依頼を受けたことを証する書類は、保存対象です。
- 1が誤り:輸入貨物の運送保険料明細書を、通関業法上の保存対象書類として一律に扱う記述ではありません。
- 2が誤り:申告書写しの保存期間の起算を「輸入許可日の翌日」とする部分が誤りです。
- 4が誤り:通関士以外の通関業務従業者も、氏名と異動の届出対象です。
- 5が誤り:定期報告書は6か月ごとではなく、毎年提出します。
第17問:罰則と両罰規定
誤っているものは3です。通関士本人が守秘義務違反で処罰されることはありますが、その違反について法人にも当然に両罰規定が適用されるとする部分が誤りです。
許可条件違反、通関業者の名義貸し、業務改善命令違反、無許可者による「通関業者」の名称使用には、それぞれ罰則が定められています。誰の行為にどの罰則が適用されるかを分けて確認してください。
通関業法で復習したい5つの論点
- 許可の消滅と取消し:不正取得は取消し、死亡・解散などは消滅として整理する。
- 営業所の範囲:名称ではなく、通関書類作成や通関士の審査を実際に行う場所かで判断する。
- 通関士の確認:試験合格と、通関士として従事するための確認を分ける。
- 審査対象書類:税関提出書類を一括りにせず、通関業法施行令の列挙を確認する。
- 本人処罰と両罰規定:違反者だけか、法人も対象かを罰則ごとに確認する。
3科目の解答一覧は、第60回通関士試験の独自解答・全問解説で確認できます。関税法等の全28問解説、通関実務の全16問解説も科目別に整理しています。試験後の日程は、第60回通関士試験後の情報まとめに分けています。
出典・確認先(2026年10月8日確認)
税関「第60回通関士試験の試験問題について」
税関「通関業法」問題PDF
e-Gov法令検索「通関業法」
e-Gov法令検索「通関業法施行令」
税関「通関業法基本通達」(6-2等)
税関「通関業法基本通達」改正資料(8-1・14-1等)


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