第60回通関士試験「通関実務」解答・全16問解説

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第60回通関士試験「通関実務」の全16問について、資格コンパスの独自解答と計算・判断過程を整理しました。輸出入申告書の品目分類、課税価格、関税・消費税、原産地規則、択一問題まで問題冊子の順に解説します。

掲載しているのは、税関が公開した問題と関係法令・関税率表を基に資格コンパスが作成した独自解答です。税関の公式正答が公表されていないため、自己採点の参考として利用し、公式正答が公表された場合は必ず公式情報を優先してください。

先に解答一覧

  • 第1問:3・5・6・14・13
  • 第2問:品目番号は9・3・11・6・15、申告価格は672,000・328,000・288,000・269,600・240,000円
  • 第3問~第7問:3・4/3・5/1・2・3/1・5/1・4・5
  • 第8問~第13問:13,000円/1,628,400円/2,527,000円/5,138,000円/3,900,000円/3,200,000円
  • 第14問~第16問:5/5/4

第60回通関士試験「通関実務」の解答一覧

問題資格コンパスの解答形式
13・5・6・14・13輸出申告
2(a~e)9・3・11・6・15輸入申告・品目番号
2(f~j)672,000・328,000・288,000・269,600・240,000円輸入申告・課税価格
33・4複数選択
43・5複数選択
51・2・3複数選択
61・5複数選択
71・4・5複数選択
813,000円計算
91,628,400円計算
102,527,000円計算
115,138,000円計算
123,900,000円計算
133,200,000円計算
145択一
155択一
164誤りを選択

第3問から第7問は、正しい選択肢をすべて選べた場合にのみ得点されます。第1問・第2問は品目番号だけでなく、20万円以下のまとめ方と申告価格順も確認してください。

第1問:輸出申告の品目番号

解答は3・5・6・14・13です。申告日は2026年10月3日なので、問題の指示に従い前々週の相場である1米ドル160円を使います。仕入書はCIF価格ですが、輸出申告価格はFOB価格です。CIF価格から海上運賃6%と海上保険料4%を除くため、各品目は仕入書価格×90%×160円で計算します。

品目統計品目番号申告価格分類・入力の理由
綿製の男女兼用編みオーバーコート6102.20-0005756,000円男子用・女子用を判別できないため女子用に分類
ポリエステル75%の男子用編みポロシャツ6105.20-0006468,000円最大重量の構成繊維が人造繊維
綿製の乳児用編みソックス6111.20-2005432,000円乳児用衣類附属品として第61.11項
綿製の織物製手袋6216.00-5003388,800円編物ではない手袋として第62.16項
レーヨン製女子用織物ショーツ6204.69-0004198,000円20万円以下のため毛布と一括
羊毛製の編み毛布6301.20-000E151,200円20万円以下のためショーツと一括

ショーツと毛布はそれぞれ20万円以下なので一欄にまとめます。まとめる前の申告価格が大きいショーツの統計品目番号を使い、10桁目をXにした6204.69-000X(選択肢13)とします。申告価格の大きい順に並べると、3・5・6・14・13です。

第2問:輸入申告の品目番号と課税価格

品目番号は9・3・11・6・15、課税価格は672,000・328,000・288,000・269,600・240,000円です。換算相場は第1問と同じ1米ドル160円を使います。

加算する費用・加算しない費用

  • レモネードの国内広告費800米ドル:輸入者が自己のために本邦で行う販売活動の費用なので加算しません。
  • インスタントコーヒーの技術者滞在費1,200米ドル:品質検査だけでなく製造作業にも従事しているため、輸入貨物の生産に係る支払として加算します。
  • 乾燥あんずの包装資材600米ドルと提供運賃25米ドル:輸入者が無償提供した包装の取得費・提供費なので加算します。

欄ごとの品目番号と課税価格

欄品目・品目番号計算課税価格
1インスタントコーヒー
2101.11-1902(9)
(3,000+1,200)×160672,000円
2乾燥あんず
0813.10-0002(3)
(1,425+600+25)×160328,000円
3インスタントティー
2101.20-1104(11)
1,800×160288,000円
4ココナッツ粉+ルイボス
1106.30-200X(6)
(1,235+450)×160269,600円
5無加糖レモネード
2202.10-2000(15)
1,500×160240,000円

ココナッツ粉197,600円とルイボス72,000円は、いずれも20万円以下の有税品です。有税品を一括し、適用税率が高いココナッツ粉の品目番号の10桁目をXにします。レモネードは加糖していないため、選択肢14ではなく2202.10-2000の選択肢15です。

第3問~第7問の解説|複数選択

第3問:関税の確定・納付と納税義務者

正しいものは3・4です。更正後も納付すべき税額に不足が残る場合は、再更正が行われるまで修正申告ができます。輸入取引で輸入される貨物の「貨物を輸入する者」は、原則として仕入書・船荷証券の荷受人で、輸入許可前に保税地域等で転売された場合は転得者です。

  • 1が誤り:許可前引取り貨物の税額等を口頭で通知するとした点が誤りです。
  • 2が誤り:輸入者に納税能力がないことだけで、通関業者が連帯納付義務を負うわけではありません。
  • 5が誤り:更正を予知する前の修正申告でも、増差税額に延滞税が一切課されないわけではありません。

第4問:品目分類の事前照会

正しいものは3・5です。税関は、分類に必要な製法、性状、成分割合、構造、機能、用途、包装等を文書照会では詳細に記載させ、口頭照会では聴取します。教示は原則として文書照会・文書回答ですが、口頭照会には口頭で回答します。

  • 1・2が誤り:電子メール回答は、輸入申告時の尊重や意見申出について文書回答と同じ扱いではありません。
  • 4が誤り:他法令の適用を税関が正式に決定するわけではなく、必要に応じ主管官庁へ確認します。

第5問:関税率表第95類に属する物品

正しいものは1・2・3です。紙製の遊戯用カード、プラスチック製の奇術用具、ガラス繊維を合成樹脂で固めた釣りざおは、第95類の遊戯用具・運動用具に分類されます。

革製の乗馬用むちは第95類ではなく、スポーツ用ボートも船舶の第89類です。用途がスポーツ用でも、すべて第95類になるわけではありません。

第6問:EPAの品目別原産地規則

原産品となる規則は1・5です。非締約国C国で綿織物まで製造し、B国で染色、A国で裁断・縫製して第62.05項のシャツを生産しています。

  • 1:第52類の綿織物から第62類のシャツへ変わるため「他の類からの製造」を満たします。
  • 2:非原産材料の第52.08項を除外しているため満たしません。
  • 3:第52.08項の非原産材料が締約国内で完全に製織されていないため満たしません。
  • 4:製織は非締約国C国で行われているため満たしません。
  • 5:締約国A国で織物から裁断・縫製して製品にしているため満たします。

第7問:EPA原産地証明書・原産品申告書の不備

正しいものは1・4・5です。真正性・記載内容の正確性に影響しない不備は軽微な誤りとして扱えます。作成者欄の不備は真正性に直結するため、ごく些細な事項を除いて軽微とは扱えません。原産性欄に不備があっても、文書による事前教示と申告貨物の同一性を確認できる場合は有効に扱えます。

  • 2が誤り:仕入書番号に不備があっても、ほかの資料で申告貨物との同一性・原産性を確認できる余地があります。
  • 3が誤り:作成から6月以上経過したことを一律に真正性へ直結する不備として無効にする整理ではありません。

第8問~第13問の解説|計算問題

第8問:過少申告加算税

解答は13,000円です。まず修正前後の関税額を、それぞれの課税標準と税率から計算します。

  • 修正前:2,798,425円の1,000円未満を切捨て → 2,798,000円×6.7%=187,466円 → 187,400円
  • 修正後:3,410,945円の1,000円未満を切捨て → 3,410,000円×9.6%=327,360円 → 327,300円
  • 増差税額:327,300円-187,400円=139,900円
  • 加算税の計算基礎:139,900円の1万円未満を切捨て=130,000円
  • 130,000円×10%=13,000円

増差税額139,900円は当初申告税額187,400円を超えないため、超える部分に対する追加5%は生じません。

第9問:関税・消費税・地方消費税

解答は1,628,400円です。人の飲用に供するリンゴジュースには軽減税率、犬用飼料とペーパーナイフには標準税率を使います。

  • 関税:リンゴジュース4,326,000円×22.5%=973,300円、ペーパーナイフ544,000円×4.4%=23,900円、犬用飼料は無税。合計997,200円。
  • 軽減税率の消費税:(4,326,258+973,300)円の1,000円未満を切捨てた5,299,000円×6.24%=330,600円。
  • 標準税率の消費税:(1,506,928+544,896+23,900)円の1,000円未満を切捨てた2,075,000円×7.8%=161,800円。
  • 地方消費税:330,600円×22/78=93,200円、161,800円×22/78=45,600円。

合計は997,200+330,600+161,800+93,200+45,600=1,628,400円です。

第10問:金型・延払金利・輸入港までの費用

解答は2,527,000円です。

EXW価格1,800,000円に、買手が別払いする金型360,000円、輸出国工場から輸出港までの運賃・保険料74,000円、船積前保管料32,000円、船積費50,000円、輸入港までの運賃・保険料211,000円を加算します。

1,800,000+360,000+74,000+32,000+50,000+211,000=2,527,000円です。条件を満たす延払金利63,000円、輸入港での船卸し53,000円、輸入港到着後の国内運賃36,000円は加算しません。

第11問:保険料の払戻し・引渡し前保管・値札

解答は5,138,000円です。CFR価格は2,500円×2,000個=5,000,000円です。輸入港までの保険料は、納税申告時に払戻額が明らかなので80,000-20,000=60,000円を加算します。

売手から買手への引渡しはY倉庫での保管後なので、引渡し前保管料75,000円を現実支払価格に含めます。無償提供した値札の取得・提供費3,000円も加算します。

5,000,000+60,000+75,000+3,000=5,138,000円です。輸入港到着翌日以降のコンテナー賃借料12,000円と、到着後の船舶復旧費17,000円は加算しません。

第12問:数量値引き・売手検査・国内作成デザイン

解答は3,900,000円です。契約数量は500足なので、20%値引き後の単価12,000円を、実際に本邦へ輸入する300足に適用します。商品代金は12,000円×300足=3,600,000円です。

売手が契約適合性を確認する検査費を買手が別払いしているため、1,000円×300足=300,000円を加算します。3,600,000+300,000=3,900,000円です。

買手が自己のために行う国内販売促進費150,000円は加算しません。また、無償提供したデザインは本邦で作成されているため、輸入貨物の生産に係る無償提供物品・役務の加算対象から外れます。

第13問:国内販売価格から逆算する課税価格

解答は3,200,000円です。同種貨物を、輸入者と特殊関係のない国内買手へ販売した取引を優先します。その中で最大の販売数量は、単価15,000円で300台販売した取引です。

  • 国内販売単価:15,000円
  • 通常の利潤・一般経費:-3,000円
  • 輸入港到着後の国内運賃等:-2,500円
  • 本邦で課された関税等:-1,500円
  • 1台当たりの課税価格:8,000円
  • 8,000円×輸入貨物400台=3,200,000円

第14問~第16問の解説|択一

第14問:特定輸出申告

正解は5です。特定輸出申告で輸出許可を受けた貨物が輸出されないこととなり、輸出許可が不要になったときは、その許可をした税関長へ取消しを申請できます。

廃棄・亡失の届出先を貨物所在地の税関長とする1・2、特定輸出貨物に保税運送申告を求める3、輸出貿易管理令別表第1の1項貨物でも任意の税関長へ申告できるとする4は誤りです。

第15問:簡易税率・マニフェスト申告・予備申告

正解は5です。予備審査制による予備申告は、輸入申告予定日の外国為替相場が公示された日と、B/LまたはAir Waybillが発行された日のいずれか遅い日以後に行えます。

20万円以下でも簡易税率によらない場合があり、マニフェスト申告も品目・内国消費税・他法令手続を問わず利用できるわけではありません。1~4はいずれも例外・利用条件を外した記述です。

第16問:複合機械は「主たる機能」で分類する

誤っているものは4です。関税率表第16部注3は、二以上の機械を結合した複合機械と、二以上の補完的または選択的な機能を有する機械について、文脈により別に解釈される場合を除き、主たる機能に基づいて所属を決定すると定めています。

問題の4は「主たる用途」としているため誤りです。第4部のペレット、第25類の貴石・半貴石の除外、第40.04項のゴムくず、第87.12項の幼児用自転車に関する1・2・3・5は正しい記述です。

通関実務で復習したい6つのポイント

  1. 換算相場:問題が指定する申告日と適用週を先に確定する。
  2. 申告価格順:分類後に20万円以下のまとめを行い、最後に価格順へ並べる。
  3. 課税価格:現実支払価格、無償提供、輸入港までの費用、到着後費用を分ける。
  4. 端数処理:課税標準、税額、加算税の各段階で切捨て単位を確認する。
  5. 原産地規則:材料の所属変更だけでなく、製織・裁断・縫製が行われた国を追う。
  6. 関税分類:日常語ではなく、部注・類注・通則の「主たる機能」などの文言で判定する。

3科目の解答一覧は、第60回通関士試験の独自解答・全問解説で確認できます。通関業法の全17問解説、関税法等の全28問解説も科目別に整理しています。試験後の日程は、第60回通関士試験後の情報まとめをご覧ください。


出典・確認先(2026年10月8日確認)
税関「第60回通関士試験の試験問題について」
税関「通関実務」問題PDF
e-Gov法令検索「関税法」
e-Gov法令検索「関税定率法」
税関「関税率表解説・分類例規」
税関「関税評価用語等解説」
税関「関税法基本通達」

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